2016年7月14日木曜日

CTU審判員「長江千明さん」のインタビューです。


千葉県トライアスロン連合の競技普及アドバイザーの長江千明さんが、留学先のカナダからお寄せいただいたトライアスロン審判についてのインタビュー記事をご紹介いたします。


CTU:「初めに長江さんのプロフィールをお聞かせください」


長江:生まれも育ちも千葉です。人気大会の一つ、手賀沼はいつも私の練習場所でした。

トライアスロンに出会ったのは、大学生の時です。当時はトライアスロン漬けな毎日で、大学のチームメイトと、千葉一周ロングライドをしたり、全国の主要な大会や合宿へ遠征したりする日々でした。

学生連合に審判としても所属していたご縁で、大学後半からは、選手より審判員として各地の大会に参加する機会が増えました。CTUの審判員の皆さんには、未熟だった学生時代よりお世話になっており感謝するばかりです。

大学卒業後は就職したものの、週末はトライアスロンから離れることができませんでした。年1回は大学時代の仲間とレースに出ることを維持しつつ、多くの大会へ、審判、応援として参加していました。

2年前、キャリアアップを目的に、カナダへ留学。現在は大学でビジネスを専攻しています。


CTU:「日本で審判活動をされてどう感じましたか」

長江:私が初めて審判をしたのは、19歳の時です。インカレ(日本学生選手権)の予選会で、ゴールテープ担当でした。チームメイトがゴールし、結果に喜怒哀楽を惜しげなく表現する姿に心打たれたことを、今でも鮮明に覚えています。

その時から、審判員として、大会を作り上げ、その感動を生み出す場を提供する立場への興味が強くなりました。

海外での審判活動の一コマ
国内の審判活動を繰り返す際に "誰にとっても身近な存在でありたい" と心掛けていました。「頑張れ!楽しんで!お疲れ!」当たり前なことかもしれませんが、この小さな声がけの積み重ねが、トライアスロン仲間を増やすきっかけになりました。次第に、どの大会へ行っても友人に会えるようになってからは、それが楽しみで審判活動を続けていたようなものです。

ゴールを目指す姿、それを支える姿は、美しくカッコイイ。

人の輪が広がるにつれて、審判活動を通して私自身が多くの方から元気をたくさん貰ってきました。


CTU:「留学されてITUの大会にも参加されていますが日本との違いは?」

長江:当然ながら、言語・文化が大きく違います。日本(日本人同士)であれば伝わる暗黙な空気感、学生時代からの人脈、慣れ親しんだ土地といったものは通用しません。特に初めは、知り合いも全くいなかったため、どうコミュニケーションを取るかから苦戦しました。

そういった背景から、今まで以上に 自己主張が重要だと気付かされました。一から学び直す気持ちに切り替え、経験豊富な先輩審判員方の傍に付いて回っています。日本人としては苦手な YES/NO をはっきり伝え、わからなかった時、間違っていると思った時も素直にそう伝えます。すると、たとえ人種や言語が異なったとしても、ITU大会に関わる方たちは心が広く、面倒見が良いため、異国からやってきた私に対しても、非常に真摯に向き合って下さいます。この点は、日本の皆さんと同じパーソナリティですね。

ITUレースの参加数も増えるにつれて、世界中にトライアスロン・審判員仲間が増えてきました。日本に留まっていては得られなかった人脈・経験です。


CTU:「今年(2016年)の横浜に参加され、言葉に不自由ないのはうらやましいですね」

長江:まだまだ英語は100%とは程遠いほどです。今年の横浜大会では、私自身はRUNアシスタント、チーフはアメリカ人でしたが、正直なところ彼の言ったこと全ては理解できていなかったと思います。大事な場面で、どうしても私が彼の話すことを理解できず、10分ほどコース上に立ち止まって、同じことを説明してもらった…なんて時もありました。

海外での審判活動
少し話がズレますが、メキシコのITU大会で審判をした際は、外国人審判員は私含めて2人、あとは全てメキシコ人。ITUレースとはいえ、ローカル大会と併催だったため、多くの選手、大会関係者はメキシコ人でした。彼らの第一言語はスペイン語。残念ながら、多くの人は英語が話せず、私もスペイン語は全くわかりませんでした。それでも、数字(4周回のコースだったため、1~4)、Hola(こんにちは)、Gracias(ありがとう)、Salud(乾杯)だけ覚えて、なんとか乗り切りました。

言語はコミュニケーションの一手段でしかなく、肝心なのは、伝えようとする気持ちだと学びました。あと、経験からの勘は大方当たります。


CTU:「今後どのようにトライアスロンとかかわっていきたいと思いますか」

留学先のカナダにて(右手前2番目)
長江:チャンスがあるうちは、日本に留まらず、世界中の大会に関わっていきたいと思います。審判員として活動の場を広げていきたいですし、トライアスリートとしてレースを楽しむ気持ちも持ち続けていきたいです。特にカナダへ留学して以降、自ら機会を創り出すことで、世界が大きく広がりました。この経験、人脈は、トライアスロンに限らず、今後様々な形で活かせると思います。

また、この面白さが、もっと同世代(20代)や若い世代にも伝わればと思います。トライアスロンの魅力、世界への挑戦は、一見ハードルが高く見えるものの、その越えた先に見える景色は一段と素晴らしいものです。それを共感し合える仲間を、日本に、世界中に増やしていきたいです。

(2017年7月補足)
長江千明さんは2014年11月からカナダに留学し2017年2月に帰国。2017年度よりJTU職員としてご活躍中です。長江さんの今後のご活躍に期待しましょう。